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グリスアップ・注油~基本編~。農業機械メンテナンスをわかりやすく解説します!
2020/6/9

グリスアップ・注油~基本編~。農業機械メンテナンスをわかりやすく解説します!

農業機械のメンテナンス・修理はなかなかセルフで行うことに抵抗がある人が多いと思います。そこで今回は、必要な特殊工具が少なく、単純で初心者にとってやりやすい、「グリスアップ・注油」について紹介します。

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1.はじめに~グリスアップ&注油はなぜ必要?~

 

農業機械のメンテナンス・修理には必要な工具が多様にあり、なかなかセルフで行うことに抵抗がある人が多いと思います。そこで今回は、重要なメンテナンスの中でも、必要な特殊工具が少なく、単純で初心者にとってやりやすい、「グリスアップ・注油」について紹介します。

グリスアップ・注油はなぜ必要?

農業機械に限らず、全ての機械はグリスやオイルによって適切に潤滑・防錆した状態での仕様を想定した性能、耐久性の設計になっています。潤滑・防錆を維持し、高価な機械を長く大切に使用するために、グリスアップや注油は必須なメンテナンスです。

2.グリス・オイルの種類

2.1グリスとは

 主にチューブ(ジャバラ)タイプと、スプレータイプがあります。ジャバラ型のチューブは主に グリスガンという工具に詰め替えることで使用し、スプレーは部品に直接吹きかけて使用し ます。小型の農機具では、グリスフィッティングがない物も多く、その場合は使い勝手のよいスプレータイプのグリス注油で十分です。また、グリスは異なる種類を混合すると機能低下につながるので、1つの使用箇所につき1種類のグリスに定めて、同じ種類のグリスを常に使用するようにしましょう。

2.2グリスの種類

①シャーシグリス (カルシウムグリス)  
安価で耐水性に優れるグリスで、足回りやベアリングなど様々な部位に使用できます。しかし、他のグリスより耐熱性に劣るので、荷重による摩擦が大きい部分には不適切です。


②リチウムグリス 
取扱説明書等に「万能グリス・マルチパーパスグリス」とも書かれるグリスで、耐水性・耐熱性に優れ、シャーシグリスより少し価格が高いですが、農業機械に関しては基本全ての部分に使用できます。


③モリブデングリス(極圧グリス)足周りで荷重が加わる箇所(前輪付け根:キングピン辺り)等に使用します。取扱説明書では「工業用高級グリス」と表記されることもあり、価格が高く、必要な部分も少ないので、農業機械での使用はかなり稀です。


④ウレアグリス
①~③の金属を含むグリスとは異なり、有機性のグリスです。耐水性・耐熱性ともに優れていて、リチウムグリスと同様に扱えますが、価格はリチウムグリスより高いので、金属含有グリスが使用できない部分に使用しますが、使用頻度は低いです。


2.3オイル

スプレータイプのオイルが使いやすく、便利です。基本的に潤滑用オイルは、ホームセンター等で機械用に販売しているオイルスプレー(5-56等)で十分な場合が多いですが、コンバインのチェーンなどはチェーン専用のチェーンオイルと表記されたもの(ヤナセ製チェンオイ ル等)を使用することをお勧めします。

3.必要な工具とグリスガンの使用方法

 グリスアップおよび注油は、シーズン後、長期格納時にすることをお勧めします。不定期的に使用する農業機械については、使用時間で換算すると、約50時間、1年程度を目安として メンテナンスをしましょう。  また、グリスアップ・注油の前に、清掃することを忘れないでください。水やクリーナーを使って機械全体を洗浄した後に必ずグリスアップ・注油をするというルーティンを身に着けてください。

3.1グリスガン

農業機械の注油箇所の内、グリスフィッティング(突起金具)で塞がれている注油箇所の注 油を行うために使用します。取扱説明書に、グリスを注入と表記されている場合には、可動 部に単純にグリススプレー等でグリスアップする場合と、注油箇所にグリスフィッティング がついていて、グリスガンを用いる場合の2通りがあります。グリスフィッティングには、主にグリスニップル、ピンタイプ、ボタンヘッドの3種類があり、それぞれに合ったチャック部(ノズル先端)が必要になります。
農業機械においては、使用頻度の高い順にグリスニップル、ピンタイプ、ボタンヘッドとな ります。今回は最も多く使われているグリスニップルに対するグリスガンの使用法について 説明します。

 グリスガンは、手動式、エアー式、電動式があります。手動式はレバーを引くことでグリス を注入できる仕組みで、安価で手軽に使えます。残りの二つは軽い力でグリスアップできますが、付属のコンプレッサやバッテリ等が必要で、価格も高くなります。また、一般的に付 属しているストレートノズル・ベントノズルは扱いづらいので、別売りのホースノズルを購入することをお勧めします。これから説明するのは手動式ですが、基本操作は同じなので、参考にしてください。

3.2まずチェックすること

・グリスガンの容量を確認してください。
・グリスガン先端<チャック部>の形状を確認してください。
・機械本体についているニップル形状には、大きさや種類があるので確認してください。
・別途ノズルやホースの購入が必要な場合もあります。
 


3.3使用方法(手動式)

準備編

①レバーを持って押さえながら、シリンダを回して取り外し、シリンダ底のチェーンを引き、ロックします。  (チェーンがないものは取り外すだけでOKです)
②チューブを、中のグリスが見えるまで軽く押して、先端の空気を抜いてから、グリスチューブの先端をグリスガンの圧送部裏に最後までしっかりとねじ込みます。
③シリンダをチューブをしまうように取付けます。最後までしっかり締めましょう。
④ノズルを取りつけます。これはネジが回らなくなるまで回せばOKです。(根元まで行くとは限りません)
⑤チェーンのロックを外し、テスト噴射します。

注入編

①グリスニップルが汚れている場合、歯ブラシなどで清掃してください。(グリスニップルが破損している場合、新品に交換してください)
②ノズル先端をグリスニップルにはめ込みます。
③レバーを往復させて注入します。このとき、ストレートノズルの場合、ノズルがニップルに対して真っ直ぐになっていることを確認してください。
④大抵1,2往復分で、レバーが重くなったり、古いグリスが染み出たら注入終了です。
⑤ノズル先端を傾けて内圧を抜いてから取り外してください。無理に引っ張るとニップルの破損につながります。どうしても外れないときは上右図のようにテコの原理で横に押し倒すようにしてくださ い。外した後は古いグリスをふき取りましょう。

3.4グリスニップルが破損していた場合

グリスニップルが破損していた場合、グリスの十分な注入ができなくなる恐れがあるので、必ず新品と交換してください。ニップルは形状やサイズ問わず、基本的な取り付け方は同一 になります。ニップルはネジ構造になっているので、レンチ等を用いて取り外してください。古いニップルのネジ山幅と深さを確認して、新品を購入しましょう。万が一、長さが合わない場合は、やすり等で削って調節しましょう。取付は、取り外しと同様、ネジを回すように取りつけます。


3.5ドライバー

プラスドライバー、マイナスドライバーともにサイズ別に数種類用意しておけば問題ありません。クロールの転輪部等、一部の部品の取り外しに必要な場合があります。

4.メンテナンスする頻度とタイミング

グリスアップおよび注油は、シーズン後、長期格納時にすることをお勧めします。不定期的に使用する農業機械については、使用時間で換算すると、約50時間、1年程度を目安として メンテナンスをしましょう。  また、グリスアップ・注油の前に、清掃することを忘れないでください。水やクリーナーを使って機械全体を洗浄した後に必ずグリスアップ・注油をするというルーティンを身に着けてください。

5.まとめ

・適切なグリス・オイルをしよう個所によって使い分けましょう。
・異なる種類のグリスを混ぜないように、使用箇所ごとのグリスの種類を決めておきましょう。
・グリスガン使用前に、ニップルの形状と状態を確認しましょう。
・注入の際はチェック部がしっかり付いているか、ノズルの角度が適切か確認しましょう。
・グリスガンを外す際は、無理やり外さず、内圧を抜く意識を持ちましょう。
・グリスアップに破損が見られるときは、必ず交換しましょう。
・グリスアップ・注油は、必ず洗浄後に行ってください。
・グリスアップ・注油は、基本的にシーズンごとにやりましょう。
・適切なグリスアップ・注油で長く良い状態を保つことができます。
 





加藤 慶太

農業ライター

全国の生産者の元を訪れ、自らの視点で様々な情報を提供します。

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