
1.はじめに~グリスアップ&注油はなぜ必要?~
農業機械のメンテナンス・修理には必要な工具が多様にあり、なかなかセルフで行うことに抵抗がある人が多いと思います。そこで今回は、重要なメンテナンスの中でも、必要な特殊工具が少なく、単純で初心者にとってやりやすい、「グリスアップ・注油」について紹介します。
農業機械に限らず、全ての機械はグリスやオイルによって適切に潤滑・防錆した状態での仕様を想定した性能、耐久性の設計になっています。潤滑・防錆を維持し、高価な機械を長く大切に使用するために、グリスアップや注油は必須なメンテナンスです。
2.グリス・オイルの種類
2.1グリスとは
主にチューブ(ジャバラ)タイプと、スプレータイプがあります。ジャバラ型のチューブは主に グリスガンという工具に詰め替えることで使用し、スプレーは部品に直接吹きかけて使用し ます。小型の農機具では、グリスフィッティングがない物も多く、その場合は使い勝手のよいスプレータイプのグリス注油で十分です。また、グリスは異なる種類を混合すると機能低下につながるので、1つの使用箇所につき1種類のグリスに定めて、同じ種類のグリスを常に使用するようにしましょう。

2.2グリスの種類
安価で耐水性に優れるグリスで、足回りやベアリングなど様々な部位に使用できます。しかし、他のグリスより耐熱性に劣るので、荷重による摩擦が大きい部分には不適切です。
取扱説明書等に「万能グリス・マルチパーパスグリス」とも書かれるグリスで、耐水性・耐熱性に優れ、シャーシグリスより少し価格が高いですが、農業機械に関しては基本全ての部分に使用できます。
①~③の金属を含むグリスとは異なり、有機性のグリスです。耐水性・耐熱性ともに優れていて、リチウムグリスと同様に扱えますが、価格はリチウムグリスより高いので、金属含有グリスが使用できない部分に使用しますが、使用頻度は低いです。

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2.3オイル
スプレータイプのオイルが使いやすく、便利です。基本的に潤滑用オイルは、ホームセンター等で機械用に販売しているオイルスプレー(5-56等)で十分な場合が多いですが、コンバインのチェーンなどはチェーン専用のチェーンオイルと表記されたもの(ヤナセ製チェンオイ ル等)を使用することをお勧めします。
3.必要な工具とグリスガンの使用方法
グリスアップおよび注油は、シーズン後、長期格納時にすることをお勧めします。不定期的に使用する農業機械については、使用時間で換算すると、約50時間、1年程度を目安として メンテナンスをしましょう。 また、グリスアップ・注油の前に、清掃することを忘れないでください。水やクリーナーを使って機械全体を洗浄した後に必ずグリスアップ・注油をするというルーティンを身に着けてください。
3.1グリスガン
農業機械の注油箇所の内、グリスフィッティング(突起金具)で塞がれている注油箇所の注 油を行うために使用します。取扱説明書に、グリスを注入と表記されている場合には、可動 部に単純にグリススプレー等でグリスアップする場合と、注油箇所にグリスフィッティング がついていて、グリスガンを用いる場合の2通りがあります。グリスフィッティングには、主にグリスニップル、ピンタイプ、ボタンヘッドの3種類があり、それぞれに合ったチャック部(ノズル先端)が必要になります。
グリスガンは、手動式、エアー式、電動式があります。手動式はレバーを引くことでグリス を注入できる仕組みで、安価で手軽に使えます。残りの二つは軽い力でグリスアップできますが、付属のコンプレッサやバッテリ等が必要で、価格も高くなります。また、一般的に付 属しているストレートノズル・ベントノズルは扱いづらいので、別売りのホースノズルを購入することをお勧めします。これから説明するのは手動式ですが、基本操作は同じなので、参考にしてください。

3.2まずチェックすること
・グリスガン先端<チャック部>の形状を確認してください。
・機械本体についているニップル形状には、大きさや種類があるので確認してください。
・別途ノズルやホースの購入が必要な場合もあります。
3.3使用方法(手動式)

準備編
①レバーを持って押さえながら、シリンダを回して取り外し、シリンダ底のチェーンを引き、ロックします。 (チェーンがないものは取り外すだけでOKです)




注入編
①グリスニップルが汚れている場合、歯ブラシなどで清掃してください。(グリスニップルが破損している場合、新品に交換してください)




3.4グリスニップルが破損していた場合
グリスニップルが破損していた場合、グリスの十分な注入ができなくなる恐れがあるので、必ず新品と交換してください。ニップルは形状やサイズ問わず、基本的な取り付け方は同一 になります。ニップルはネジ構造になっているので、レンチ等を用いて取り外してください。古いニップルのネジ山幅と深さを確認して、新品を購入しましょう。万が一、長さが合わない場合は、やすり等で削って調節しましょう。取付は、取り外しと同様、ネジを回すように取りつけます。3.5ドライバー
プラスドライバー、マイナスドライバーともにサイズ別に数種類用意しておけば問題ありません。クロールの転輪部等、一部の部品の取り外しに必要な場合があります。4.メンテナンスする頻度とタイミング
グリスアップおよび注油は、シーズン後、長期格納時にすることをお勧めします。不定期的に使用する農業機械については、使用時間で換算すると、約50時間、1年程度を目安として メンテナンスをしましょう。 また、グリスアップ・注油の前に、清掃することを忘れないでください。水やクリーナーを使って機械全体を洗浄した後に必ずグリスアップ・注油をするというルーティンを身に着けてください。
5.まとめ
・異なる種類のグリスを混ぜないように、使用箇所ごとのグリスの種類を決めておきましょう。
・グリスガン使用前に、ニップルの形状と状態を確認しましょう。
・注入の際はチェック部がしっかり付いているか、ノズルの角度が適切か確認しましょう。
・グリスガンを外す際は、無理やり外さず、内圧を抜く意識を持ちましょう。
・グリスアップに破損が見られるときは、必ず交換しましょう。
・グリスアップ・注油は、必ず洗浄後に行ってください。
・グリスアップ・注油は、基本的にシーズンごとにやりましょう。
・適切なグリスアップ・注油で長く良い状態を保つことができます。



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