1. 寒冷紗を使う目的
寒冷紗とは麻や綿を平らに織り込んだ布のことを言い、園芸用の他にも料理で出汁を取る際や、漆喰の下地補強に使われています。
そんな寒冷紗は農業では育苗期を中心に頻出のアイテムで、家庭菜園でも様々な野菜で使うことができます。まず、寒冷紗の使用目的にはどんなものがあるのか見てみましょう。
1.1 害虫対策
野菜を育てているといつも何らかの害虫が表れますが、寒冷紗をかけているだけで外部からの虫の侵入を防ぐことができ、害虫による被害を防ぐことができます。一度に大量に卵を産み付けるような蛾などの成虫の飛来を防ぐのに大きな効果を発揮します。
1.2 遮光
種を蒔いた直後に強すぎる日光が当たると、発芽率が低くなってしまうことがあります。寒冷紗をかけることで強い日差しが適度に和らぎ、発芽適正温度を保つことができます。
1.3 防寒対策
寒い冬の時期には、ハウス内程ではなくとも、寒冷紗をかけることで温度を調整することができます。
1.4 防風対策
病気にならないように風通しの良いところで野菜を育てるのは重要ですが、極端に風が強すぎると茎が折れてしまったりということもあります。寒冷紗をかけることで風の強さを和らげることができます。
2. 寒冷紗の種類
2.1 白色の寒冷紗
保温を目的とした、主に冬に使われる寒冷紗です。遮光率は20%程で、日光を必要以上にカットしてしまうこともなく、もっとも汎用性の高いネットです、家庭菜園などで初めて寒冷紗を使ってみようと考えている方にはこちらの白い寒冷紗がおすすめです。

2.2 黒色の寒冷紗
遮光率が50%と高くなっていて、太陽光の強さを和らげたい夏に使われることの多い寒冷紗です。ただ、使う季節を間違えると日照不足になり、苗が貧弱になってしまうなどの生育不良を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
2.3 銀テープ入りの白色寒冷紗
銀色テープが太陽光を反射して害虫が近寄りにくくする、害虫対策に力を入れた寒冷紗です。
3. 寒冷紗の使い方
3.1 露地栽培
①トンネル用の支柱を50cmほどの間隔でアーチ状に立てていきます。後で風邪で抜けたりしないようにしっかり差し込んでおきましょう。成長後に高さが高くなるような野菜を育てる場合には、できるだけ弧を描くようにさすと直径さが長くなり、トンネルに高さが出てきます。
②適当な大きさに寒冷紗を切り、支柱にかけてみてクリップなどで固定します。この時に皴が出来てしまわないようにしっかり張りながら固定していきましょう。伸ばした分は下で余らせて、重しで固定しましょう。
3.2 プランター栽培
プランターで育てている場合は、畑と同様にドンエル上に2本ほど支柱を立て、その周りをプランターごと寒冷紗で包み、皴を伸ばしながら洗濯ばさみなどでとめてしまえば完成です。その際しっかり寒冷紗を止めて、風邪などで飛んでいかないようにしましょう。
4. 寒冷紗使用の注意点
害虫予防だけでなく、防寒や防風などいろんな効果をもつ寒冷紗ですが、使用にはいくつか注意点があります。

4.1 適度に外しておく
通気性のある寒冷紗とはいえ、湿度の高い梅雨の時期などにずっとかけっぱなしにしておけば湿気がたまり、病原菌やカビの広まる原因となりかねません。その時々の気候に応じて、定期的に寒冷紗を外す時間を設けましょう。
4.2 効果に依存しすぎない
保温効果や遮光効果と合わせて防虫効果と、様々な効果のある寒冷紗ですが、その機能を過信してはいけません。寒冷紗をかけていてももとから卵や幼虫がいた場合は害虫が広がってしまいますし、隙間から入り込んできてしまうということもあります。一度寒冷紗をかけただけで安心して、そのまま放置して様子を見ないというようなことはないようにしましょう。
5. 防虫ネットの選び方
害虫の大きさに合わせたネットの選び方
害虫の大きさに合わせて防虫ネットの目の細かさ=目合を選びます。各野菜にどの害虫が寄り付くかについては過去の記事をご参照ください。

赤色のネットはアザミウマ類に効果的
赤色の防虫ネットは『アザミウマ類』への侵入抑止効果が高く、0.8mmの目合でも、0.4mmの白色ネットと同程度の防虫効果があります。アザミウマ類によるウイルス性発病株数を大幅におさえることができます。
銀糸を用いることで虫を寄せ付けない
害虫はキラキラした光を嫌うので、銀糸や反射素材を織り込んだものを用いることで、害虫を防ぐことができます。
6. 防虫ネットの張り方
0. 作業日は風の少ない日を選ぶ
支柱やネットが風で飛ばされないよう、風の少ない日に作業を行いましょう
1. 下穴を開ける
はじめに、防虫ネットの支柱を差すために下穴をあけます。支柱の間隔が狭いほど積雪や強風に対し頑丈になります。50~70cm程度の間隔が目安です。支柱穴開け機などを使うと簡単に下穴をあけることができます。
2. 支柱を差す
支柱を下穴に差してアーチを作ります。グラスファイバー支柱は比較的安価ですが、雪が降るとアーチが潰れることもあります。その際は丈夫な鋼管支柱を数メートル間隔で差すことで、耐久性を上げることができます。
3. 防虫ネットをかぶせる
防虫ネットを支柱に被せます。このときに害虫がネットの内側に入ってしまわないよう、防虫ネットは畝幅の2倍の長さにカットしておきます。これによりネットを地面に固定しやすくなります。支柱にかぶせた防虫ネットの端は、市販のU字ピンや鉄杭などにしっかり固定します。
4. 土を寄せる
ネットの裾に土を乗せていきます。この際、小さな虫が侵入しないよう隙間を全て埋めてください。防虫ネットの生地と支柱を密着させながら土を乗せていくと、防風対策にもなります。また、トンネルの上に数カ所支柱をかけることで防風効果をアップさせることもできます。
水やり
防虫ネットは水やりのたびに外すべきか、悩みどころですが、できるだけ防虫ネット越しに水やりをしましょう。せっかく張った防虫ネットを外して水やりをしている間に虫に入られてしまったらもともこもありません。
不織布に比べて、防虫ネットは光や水分の透過性を持たせているため、ネットの上から水をかけられるようになっています。液肥についても、ネット越しにかけることができますよ。
その他注意点
ネットの裾に隙間があると、害虫が侵入するのでしっかり土をのせておきましょう。ネットの両端部は隙間ができやすいので要注意です。
作物に害虫が付着した状態で防虫ネットをかけてしまうと、中で害虫を飼育する、という恐ろしい事態を招くことになります。ネットの内側には天敵もなく、害虫が増殖する一方…。事前にしっかりと消毒をしてからネットをかけましょう。畝立ての前に「太陽熱」で土壌を消毒するとさらに効果がアップします。
作物が成長し、トンネルの中でパンパンになってしまうことがあります。このとき、害虫がネット越しに産卵している場合が。作物とネットができるだけ接触しないように、作物の大きさにあった防虫ネットの選択、支柱の高さ設計を計画的に行いましょう。
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