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知っておくべきじゃがいもの病気!【詳細編:前半】
2020/6/29

知っておくべきじゃがいもの病気!【詳細編:前半】

ジャガイモの主な病気として、そうか病、乾腐病、軟腐病、疫病、モザイク病、青枯病が上げられます。その詳しい原因と対策方法とについて、前編・後編に分けてわかりやすく解説していきます。

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1.そうか病

ジャガイモそうか病とは

そうか病とは、ストレプトマイセス属の放線菌(細菌)が原因で起こる病害であり、塊茎に5~10mm程度のコルク化したあばた状の病斑が発生することが特徴の病気です。食味は変わらず、皮を剥けばたべることができますが、見た目が悪くなるので商品化できなくなり、多発した場合の被害は大きくなります。 

発生条件

そうか病は、以下の条件で発生しやすくなります。
・乾燥している気候
・アルカリ性土壌(pH6.5~で多発)
対策を行わない場合は、長年被害を与え続けることになります。
ジャガイモの他にもダイコンやカブ、ゴボウなど、根菜類にも病斑を発します。
 

防除方法

植物が発病しているときには、主因(病原体)・誘引(環境)・素因(宿主植物)の条件が揃っていることになります。病害を防除とは、これらの要素を少なくすることで、3つの要因を少なくすることが基本的な考え方となります。

まず、主因を減らすことにつながる予防策として、「消毒した種イモを使う」「連作を避ける」ことが挙げられます。

感染している種イモを使うと、土壌が汚染され子世代にも伝染してしまいます。消毒した種イモを使うようにしましょう。

また、連作を行うことは、病原体が好む環境(宿主の根圏など)を与え続けることになるり、主因である病原菌の増殖に寄与してしまいます。また連作は、植物栄養学の観点からも、土壌中の栄養バランスの偏りを生むのでできるだけ避けましょう。ジャガイモは、ナス科なのでトマトやナス、万願寺、ピーマンなど他のナス科作物も含めて3年程度はあけて栽培するようにしましょう。

また、誘因と素因に関わる予防策としては、「未熟な堆肥を加えない」ということも重要になります。

堆肥は、微生物が有機物を分解することで出来ますが、発酵は分解されやすい糖やアミノ酸から行われ、続いてペクチン、セルロース、リグニンと順に進んでいきます。それぞれの成分を分解する微生物は異なるため、順に分解が進むことで最終的には多様な微生物相が形成されます。

しかし、未熟な堆肥は、ペクチンやセルロース、つまり植物細胞壁の分解が終わっていない状態であり、このときペクチン分解菌が堆肥内で優勢である可能性があります。このような、ペクチン分解菌を多く含む未熟な堆肥を投入すると、根の細胞壁を溶かし、病原菌を作物に侵入させてしまうことになります。そうか病以外においても、植物に傷を付けないということは感染防止において重要であります。未熟な肥料は入れないようにしましょう。

以上3つは、どの病気の防除においても重要な考え方になります。

環境誘因を小さくする防除としては、病原体が好む環境を作り出さないことが重要になります。そうか病においては

・地温の上がりすぎに注意する
・土壌の乾燥を避ける
・石灰資材の多用を避ける
  

ということがポイントになります。
乾燥をさけるためにはマルチが有用ですが、黒マルチは高温となる可能性が高いので、保水性のある腐食を投入するなどで土壌性を改良する方が、効果的であるかもしれません。

2.乾腐病

ジャガイモ乾腐病

乾腐病は、フザリウム属菌という放線菌により、引き起こされる病害です。ジャガイモにおいては、塊茎内部がところどころ黒変〜褐変するような病状を発生します。病原体は根から侵入し、腐敗させることなく導管部を褐変させます。このことから、水分や養分の流れが阻害され、植物体全体には以下のような症状が現れます。

・生育不良
・下葉から上葉に順に黄化
・枯れや枯死

発病した場合、その個体が出荷できなくなるだけでなく、土壌伝染病として被害が拡大する可能性があります。

ジャガイモの他にもダイコン、カブ、キャベツなどに発症しますが、1種のフザリウム属菌は、限定された種に感染します。つまり、寄生性分化といい、作物ごとに別の種類のフザリウム属菌が存在しています。

発生条件

乾腐病は以下の条件で発生しやすくなります。

・地温:25〜27℃
・酸性土壌(赤土や砂質)
  

防除方法

乾腐病を予防するためにも、

・消毒した種イモを使う
・連作を避ける
・未熟な堆肥を加えない
  

ことが重要になります。
また、乾腐病の環境誘因を小さくする防除としては、

・土壌をアルカリ性に調整
・センチュウ対策をする
  

ことがポイントになります。

乾腐病の防除のための土壌pHの調整には、転炉スラグが有用であります。通常、pHをあげるために石灰資材を用いると、土壌中の陽イオンバランスが乱れ、作物が微量必須元素欠乏になる可能性があります。転炉スラグは、酸化カルシウムの他に、鉄、マンガン、マグネシウム、リン酸、ホウ素を含み、微量必須元素も補いながらpHの改善を行うことが出来ます。

また、乾腐病は傷口から植物体内に侵入することで感染します。乾腐病の予防には植物に傷を付けないという意味で、センチュウ対策をすることも重要になります。

収穫の際は傷を付けないように気をつけ、貯蔵中には糸状菌が好むような高温多湿にならないように注意しましょう。

3.軟腐病

軟腐病とは

カビによって地下部分から腐敗が始まり、地面近くの下葉に水浸状の病斑が表れ、強い臭いを放ちます。じゃがいもだけではなく、レタスやキャベツなどでも多く発生します。高温多湿の状態または、水はけの悪い土壌で発生しやすくなります。

発生条件

乾腐病は以下の条件で発生しやすくなります。

・地温:30〜35℃
・多湿
・pH:6〜7
  

土壌細菌は基本的に、高温多湿、中性〜微アルカリ性を好む傾向にあります。夏に播種や定植すると、発病や被害が大きくなります。根圏で増殖し、雑草の根圏で越冬します。

防除方法

軟腐病の環境誘因を小さくする防除としては、

・水はけの良い土壌づくり
・地温の上がりすぎに注意する
  

ことがポイントになります。

軟腐病菌は多湿を好むが、糸状菌は乾燥を好むことからも、水はけがよくて保水力のある土壌を目指すことが重要であると考えられます。 また、雨の日に収穫することは避けるようにし、貯蔵前には涼しい場所で日光で乾燥させましょう。

発生すると防除が難しい軟腐病ですが、殺菌剤以外にも、植物防御活性剤や生物的防除剤も販売されているので、被害を広げないためにも活用しましょう。

おわりに

どの病気においても、農薬を使うことで病原体の密度を下げ、主因を少なくすることが最も効果的な防除になります。是非、本サイトの農薬データベース(対象農作物にじゃがいも、適用病害虫に害虫名を入力してください)に記載された情報を参考にしてください。合わせてじゃがいもにおける害虫被害とその対策も知識として理解しておきましょう。

加藤 慶太

農業ライター

全国の生産者の元を訪れ、自らの視点で様々な情報を提供します。

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