メキャベツを病気から守る!知っておくべきメキャベツの病気6つとその対策

メキャベツを病気から守る!知っておくべきメキャベツの病気6つとその対策

メキャベツ(芽キャベツ)は「小さなキャベツ」のようですが、キャベツとは品種も異なるアブラナ科の野菜です。栄養価が高く、かつ鉢植えでも育てられる簡便さが人気です。今回は、メキャベツがかかりやすい病気とその予防法・対処法をご紹介します。

はじめに

メキャベツ(芽キャベツ)はキャベツによく似たアブラナ科の植物です。可愛らしい見かけから、スープやシチューなどの煮込み料理に使われたり、肉や魚料理の付け合わせにされたりします。

単なるキャベツのミニバージョンというわけではなく品種も異なりますが、栄養価が高く、かつ鉢植えでも育てられる簡便さが人気です。
今回は、メキャベツがかかりやすい病気とその予防法・対処法をご紹介します。

メキャベツ栽培で注意したい病気

立枯病・苗立枯病

立枯病は、フザリウム属菌やリゾクトニア属菌、フハイカビ属菌などの糸状菌(カビ)が原因となって発生する病気です。カビが根に感染して腐敗させ、養分の吸収を妨げて生育を阻害します。葉が下から黄色に変色したり、株が萎れてきたりといった様子が見られる場合は要注意です。上の写真は立枯病にかかったネギの様子です。放置しておくと根が茶色に変色して立ったまま枯れてしまいます。

立枯病の菌は水分を好むため、水はけが悪く、降雨が続く時期は発生しやすくなります。また、一度立枯病に感染すると、植物を除去した後も土壌中に胞子が残ったり、菌糸が付着した植物の残渣があったりして再発することがあります。
下の写真のように、発芽から定植前後までの幼苗期に立枯病にかかると、苗立枯病と呼ばれます。

予防法・対処法

発病した株はすぐに除去しましょう。感染が拡大しないよう、畑の外で処理します。
肥料切れが起こらないように施肥管理に注意しましょう。また、多湿条件で発生しやすいため、水はけをよく保つように心がけましょう。

予防策としては、アブラナ科の野菜との連作を避けることが大切です。さらに、植えつけの前に薬剤を土壌中にしみこませておくのも効果的です。

べと病

べと病は、卵菌類のカビが原因となって発生する病気です。地面に近い株の下の方の葉から進行し、葉の表面に黄色い病斑ができます。上の写真はホウレンソウのものですが、病斑の形はふぞろいで、輪郭がぼんやりと歪んでいることもあります。

進行すると、病斑が拡大して裏面に白色のカビが生じ、さらに処置を怠ると病斑の中央が黒色に変わって枯死にいたります。下の写真では、べと病を発症したホウレンソウの葉の裏側にカビが生じている様子がわかります。

カビは水を介して伝染するため、多湿な環境で発生します。気温が20℃前後で雨が多い梅雨・秋雨の時期は特に注意が必要です。カビの胞子が作られると風によって運ばれて他の野菜にも感染が拡大する恐れがあります。

予防法・対処法

水のやりすぎに注意しましょう。また、枯れた葉はこまめに除去し、株の根元の風通しを良く保ちましょう。
落ち葉からも感染する可能性があるため、圃場はきれいな状態を維持するよう心がけましょう。

黒腐病

黒腐病は細菌によって引き起こされる病気です。葉だけでなく茎や根などの複数の部位に発症します。
初期には葉に淡褐色の病斑が生じます。病気が進行すると病斑が拡大して中央部が変色し、乾燥すると裂けます。
下葉から発症することが多く、放置しておくと株全体に病気が進行することもあります。

根部では、空洞が生じたり変色して腐敗が起こったりする場合があります。根部の腐敗は異臭をもたらします。

黒腐病は土壌中に残っている病原菌から発病します。また、種子による伝染や水を介した伝染が起こることも知られています。
発病した株の葉や根、茎を畑に残したままにしておくと、病原菌が増殖して葉や根の傷口から侵入し、被害をもたらします。

予防法・対処法

発病した株は除去して畑の外で処分し、残渣が残らないように注意しましょう。また、種子感染を防ぐため、播種を行う際には消毒された種子を用いるようにしましょう。
完熟たい肥を混ぜ込むなどして土壌の水はけをよく保つことや、葉や根に必要以上に傷をつけないように普段の手入れから注意することが大切です。

根朽病

根朽病はPhoma lingamというカビによって引き起こされる病気で、メキャベツだけでなくキャベツやハクサイなどのアブラナ科野菜に感染します。
初期には、地ぎわの茎に水が染みたような状態になってくびれが生じ、淡褐色や緑白色に腐敗します。表面には小さな黒色の斑点が生じます。

定植前後の幼苗期に発病することが多く、放置しておくと根や葉にも症状が広がります。
根では表面が腐敗してぼろぼろになるほか、側根が腐って溶けてしまいます。
また、葉には大きな円形をした灰緑色の病斑ができます。

カビは水を介して伝染するため、多湿な環境で発生します。温暖で湿度が高い梅雨や秋雨の時期には特に注意が必要です。カビの胞子が作られると風によって運ばれて他の作物にも感染が拡大する恐れがあります。

葉、茎、根ともに病斑部には黒色の小粒点が生じるのが特徴です。幼苗期の生育不良やしおれが生じる原因として、他に苗立枯病や萎黄病、軟腐病などが考えられますが、黒色小粒点の有無で根朽病かどうかを判別することができます。

予防法・対処法

発症した葉や茎はすぐに除去しましょう。
また、水のやりすぎに注意し、排水がよい土壌環境を整備しましょう。梅雨の時期や秋の雨が多い時期には特に注意が必要です。
アブラナ科の作物の連作は避け、適切な施肥管理を心がけましょう。

菌核病

菌核病はSclerotina sclerotiorumというカビによって引き起こされる病気で、メキャベツやキャベツなどのアブラナ科野菜だけでなく、他の多くの作物に感染します。
初期には、茎の一部に水が染みたような状態になって淡褐色に腐敗します。放っておくと、病斑が茎を伝わって他の部分に伝染していきます。

カビは水を介して伝染するため、多湿な環境で発生します。気温がそれほど上がらず、かつ湿度が高い晩秋から5月上旬にかけては特に注意が必要です。カビの胞子が作られると風によって運ばれて他の作物にも感染が拡大する恐れがあります。

予防法・対処法

発症した葉や茎はすぐに除去しましょう。
また、水のやりすぎに注意し、排水がよい土壌環境を整備しましょう。梅雨の時期や秋の雨が多い時期には特に注意が必要です。
アブラナ科の作物の連作は避け、適切な施肥管理を心がけましょう。

軟腐病

軟腐病はErwinia carotovoraという細菌が原因で発生します。
発病の初期には新芽などの柔らかい葉に水浸状の小さな病斑ができます。病斑は急速に広がり、株全体が侵食されると腐敗して悪臭を発するようになります。

土壌中に残存する原因菌が発病を引き起こします。
感染が起こった畑を機械で耕した場合、消毒をせずに他の畑で同じ機械を使用することによっても感染が拡大するため、機械の使用後には消毒を行うよう心がけましょう。

マメ科やイネ科を除くほとんどの植物に感染する病気のため、前作の作物がアブラナ科ではないとしても、一度でも軟腐病が発生した畑では注意が必要です。

予防法・対処法

感染した葉や茎は早期に除去し、畑の外で処分します。また、一度感染が確認された土壌では連作を避けましょう。

株と株の間隔を十分に広くとったり、水はけが悪い畑では畝を高くしたりするなどの予防策も有効です。また、害虫が食害した後の傷口から菌が侵入することがあるため、害虫の侵入を防ぐために防虫ネットを掛けるとよいでしょう。

メキャベツを健康に育てるために

風通しがよい環境で、施肥管理や水やりに注意しながら栽培を行うことが、メキャベツを健康に育てるための基本です。万が一感染した場合には、病状に合わせて適切に葉の除去や株の抜き取りを行ってください。

害虫による食害が病気の感染をもたらす場合も少なくありません。メキャベツに発生しやすい害虫については、こちらの記事をご覧ください。

被害が大きくなりそうなときや、より確実に対策を行いたいときには薬剤の使用も有効です。本サイトの農薬データベースの対象農作物に「メキャベツ」、適用病害虫に病気名を入力すると効果のある農薬を参照することができます。

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