ゴボウの栽培方法〜ゴボウ栽培のポイントをわかりやすく解説!

ゴボウの栽培方法〜ゴボウ栽培のポイントをわかりやすく解説!

独特な風味と食感が人気のゴボウは、食物繊維が豊富で、きんぴらやかき揚げにしたり豚汁に入れたりと様々な場面で活躍します。今回は、畑の準備から収穫まで、家庭菜園でも実践できるゴボウの一連の栽培工程をわかりやすく解説します!

ゴボウとは

学名 和名/別名 分類 原産地 発芽適温 生育適温
Arctium lappa L. ゴボウ キク科ゴボウ属 ユーラシア大陸北部 20~25℃ 20~25℃

ゴボウはユーラシア大陸原産のキク科の野菜です。根が長く伸びる長根種とそれらの改良型である短根種に大別されます。日本には非常に古い時代に中国から伝えられたと言われており、当初は食用ではなく薬用に用いられました。
現在でも、ゴボウを食用にしているのは日本だけと言われており、中国をはじめとするユーラシア大陸の国々でもゴボウは食用ではなく薬用に使われるのが一般的です。

ゴボウには食物繊維が豊富に含まれており、腸内環境を整える野菜として知られています。根を食べる品種だけでなく、葉を食用にする葉ゴボウも根強い人気があります。
今回は、美味しいゴボウを収穫するための栽培のコツをご紹介します。

栽培時期

3月~4月に種をまいて10月~冬にかけて収穫する「春まき」と、9月~10月に播種して翌年の夏頃に収穫する「秋まき」とがあります。播種後、2~3か月で「若ゴボウ」として収穫できるようになるため、必要に応じて栽培期間は調整できます。

ゴボウの栽培

土作り

ゴボウの根を地中深く真っ直ぐに伸ばすためには、あらかじめ畑を深耕しておかなければなりません。
ゴボウの栽培をおこなう場所を決めたら、スコップを使って深さ90cmくらいまで地面を掘り、よく耕しましょう。これを行わないと、根が途中で分岐したり、根が硬い地層に食い込んで収穫が難しくなったりします。
プロのゴボウ農家は、トレンチャーという農機を使って深さ90cmくらいの溝を作ります。

畑の深耕をおこなうのに合わせて、苦土石灰を1㎡あたり150gほどまいて混ぜておきます。
なお、ゴボウは比較的連作障害を起こしやすい野菜のため、過去に同じ畑でゴボウを栽培したことがある場合には最低でも3年ほど間隔をあけて栽培しましょう。

連作障害

同じ作物を畑で連続して栽培することで、土壌病害が発生しやすくなったり土壌養分の不均衡が起こったりして、作物の生育に悪影響が出る現象を連作障害と呼びます。同じ科の作物を続けて栽培すると、土壌中に集まる微生物に偏りが生じ、土の中で特定の病原菌が増えるのが原因です。

萎黄病や半身萎凋病は、様々な作物で発生する代表的な土壌病害で、連作障害の一種です。
詳しくは「連作障害を防ぐ!家庭菜園で気をつけたい連作障害の特徴とその対策方法まとめ」をご覧ください。

播種

畑の準備が整ったら、幅50~60㎝、高さ10~30㎝の畝を立てます。畝の高さは、畑の水はけが悪い場合には高めに設定しましょう。

畝の中心に、直径約5㎝、深さ1㎝ほどの穴をつくり、まき穴1つあたり4~5粒の種をまきます。穴と穴の間は10~12㎝ほど取るようにします。
なお、ゴボウの種は発芽しにくいため、種まきの前日に種を一晩水につけて浸水処理しておくと良いでしょう。

種をまいたら覆土して、上から手で軽く押さえましょう。ゴボウの種子は好光性と呼ばれる性質を持ち、発芽するために光を必要とするため、土はごく薄くかぶせるようにします。
覆土したらたっぷり水をやり、発芽までは乾燥させないようにしましょう。あらかじめ、もみ殻を土に混ぜておいたり、種まき後に寒冷紗をかけて保湿したりするのもおすすめです。

10日~2週間ほどで発芽します。こまめに株の周囲の雑草を取り除き、ゴボウが生育しやすい環境を整えましょう。

寒冷紗

寒冷紗とは、麻や綿を平らに織り込んだ布のことです。園芸だけでなく、料理で出汁を取る際に使われたり、漆喰の下地補強に用いられたりします。畑では、育苗期を中心に頻出のアイテム。保湿だけでなくアブラムシやネキリムシなどの害虫対策、さらには風対策にも役立ちます。

こちらの記事を参考にしながら、ぜひ寒冷紗を活用してみてください。

間引き

ゴボウ栽培では、合計で2回ほど間引きを行います。
本葉が1枚出てきたら最初の間引きを行い、1箇所に2つの株を残します。このとき、同時に除草も行いましょう。
本葉が2~3枚になったら2回目の間引きを行い、1箇所につき成長がよい方の株を1本だけ残します。

ゴボウは、葉が広がっているものよりも上に向かって伸びているものの方が根が真っ直ぐ下に張っていると言われます。葉が上に向かって伸びている株を優先して残しましょう。

ちなみに、ゴボウは葉の部分も栄養価が高いため、間引いたものも捨てずに美味しく食べることができます。

ゴボウの栽培:栽培管理

追肥・土寄せ

間引きと同時に行うのが追肥と土寄せです。株に沿って化成肥料をまき、根が地上に出ないように土寄せをしましょう。追肥量は1㎡あたり化成肥料30g程度が目安です。
肥料が不足すると「す」が入りやすくなるため注意しましょう。

「す入り」とは

す入りとは、ゴボウやダイコン、カブなどの根菜類の根が過度に肥大して中に空洞ができてしまうことを言います。主に収獲が遅れたときに見られる現象ですが、窒素過多や水のやりすぎなどが原因で起こることもあります。

間引きをおこなった後は、株周辺の土が緩んで倒れやすくなったり、根の一部が地上に出たりする可能性があります。放置しておくと、根が傷ついたり、曲がりやすくなったりするため、土寄せを行うことで橙色の根がまっすぐ深く張るように調整します。
なお、土寄せをするときには、葉の根元の分岐に土がかからないように注意しましょう。

病気・害虫に注意!

ゴボウの栽培では、うどんこ病や紫紋羽病、黒あざ病などの病気による被害に注意する必要があります。こちらの記事では、ゴボウ栽培で気をつけたい6つの病気について、原因や対処法をご紹介しています。

ゴボウの柔らかい葉は害虫にとっても非常に魅力的です。ゴボウヒゲナガアブラムシやヒメアカタテハの幼虫など、ゴボウ栽培で注意すべき害虫は少なくありません。
こちらの記事では、害虫による被害が生じた場合の見分け方や対策方法をご紹介しています。

ゴボウの栽培:収穫

スコップを使って根の先端まで掘って収穫します。ゴボウの収穫に適した鉄棒や細長いスコップも市販されています。それらも上手に活用しましょう。

根が最も太く長く成長するのは種まき後4か月ほど経ってからですが、播種から2~3か月後の根が1cm程になる時期には若ゴボウとして収穫を始めることができます。
ゴボウは乾燥に弱いため、保存する場合は収穫後に土がついたまま新聞紙でくるんでおくようにしましょう。

おわりに

今回はゴボウの栽培方法についてご紹介しました。ゴボウはあまり家庭菜園で栽培するイメージがない野菜ですが、収穫の時期によって味や硬さに違いが出るため、異なる食感や風味を楽しみながら栽培できる野菜です。ぜひ一度、ゴボウ栽培に挑戦してみてください。

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