1. アスパラガスとは
学名 | 和名/別名 | 分類 | 原産地 | 発芽適温 | 生育適温 |
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Asparagus officinalis L. | アスパラガス | ユリ科アスパラガス属 | 南欧~ロシア南部 | 25~30℃ | 15~20℃ |

アスパラガスは南欧~ロシア南部を原産とするユリ科の野菜です。日本には江戸時代にオランダから伝わりましたが、当時は観賞用として導入されたと言われています。大正時代に本格的な栽培が開始され、戦後、肉食が普及するのと同時に広く食べられるようになりました。
アスパラガスは、野菜には珍しく多年草で、一つの株から5年以上続けて収穫することができます。適切な管理を行った場合には7~8年もの間収穫することも可能です。
また、一度収穫した後も次から次へと成長するため、ほとんど一年を通して楽しむことができる野菜と言えるでしょう。
今回は、そんなアスパラガスの栽培方法について、畑の準備や栽培管理、収穫に至るまでに必要なことをご紹介します。

特有の爽やかな香りとシャキシャキとした食感が人気のアスパラガスは、ビタミン類や葉酸を豊富に含む緑黄色野菜です。
もともと缶詰で流通していたホワイトアスパラガスも近年では生で市場に出回るようになってきており、紫のアスパラガスも知られるようになりました。
アスパラガスの品種や旬についてはこちらの記事をご覧ください。
【アスパラガス大全】アスパラガスの旬はいつ?日本で食べられているアスパラガスの種類も紹介!
2. 栽培時期
15~20℃が生育適温のため、冷涼な気候でよく育ちます。暖地では2月~3月、冷涼な地域では3月~4月に種まきを行い、4月~7月頃にかけて定植します。収穫できるようになるのは翌年からですが、4月~9月頃まで次から次へと収穫が可能です。

3. アスパラガスの栽培
3.1 播種・育苗
直径8~9㎝のポットに種を2~3粒ずつまき、5㎜ほど覆土します。30℃くらいの水に一晩浸けてから種をまくと、発芽率が上がります。
アスパラガスは乾燥に弱いため、発芽するまでは十分に水をやりましょう。ポットに新聞紙を掛けることで乾燥を防ぐことができます。

発芽後は新聞紙を取り除きます。草丈が4~5cmに伸びてきたら、草勢が強い苗を1本残して間引きます。
育苗中もこまめに水やりを行いましょう。
新聞紙やワラ、寒冷紗などをかぶせておくと、過度の乾燥を防ぐことができます。

寒冷紗とは、麻や綿を平らに織り込んだ布のことです。園芸だけでなく、料理で出汁を取る際に使われたり、漆喰の下地補強に用いられたりします。畑では、育苗期を中心に頻出のアイテム。保湿だけでなくアブラムシやネキリムシなどの害虫対策、さらには風対策にも役立ちます。
こちらの記事では、寒冷紗や防虫ネットの使い方をご紹介しています。
寒冷紗・防虫ネットの正しい使い方!野菜栽培で大活躍、寒冷紗・防虫ネットの使い方まとめ
3.2 土作り
アスパラガスの栽培に適したpHは6.0~6.5とされており、酸性土壌では生育が悪くなるため注意が必要です。

まず、種まきの2週間以上前に1㎡あたり150g(約3つかみ)の苦土石灰をすき込み、土となじませます。その後、1週間前になったら1㎡につき堆肥を約3㎏、化成肥料150gをまいて、よく耕します。
苦土石灰と化成肥料が土と混ざったら、畝を立てます。畝の幅は80~90㎝になるようにし、畝の中央に50㎝間隔で定植用の穴をあけます。畝の高さは20㎝程度が最適です。

畝をつくった後に黒マルチを張ることで、雑草の生育が抑えられる、地温を上げるなどの効果が得られます。マルチの種類や効果についてはこちらの記事をお読みください。
マルチを使い分けて野菜作り!様々なマルチの種類と効果まとめ
3.3 定植
本葉が3~4枚に増え、草丈が15㎝ほどに伸びたら定植します。ポットの土面が畝の表面より5㎝ほど深くなるように植えつけましょう。このとき、覆土は必要ありません。
定植後は十分に水をやりましょう。

4. アスパラガスの栽培:栽培管理
4.1 追肥・土寄せ
1年目は収穫を行いませんが、晩秋までに茎数が1株あたり40本、草丈は70cm以上になることを目標にするとよいでしょう。冬になって茎葉が黄くなってきたら、地上部を刈り取って焼却し、翌年の栽培に備えます。
2年目以降は、早春に茎が出てきたら畝全面に肥料を施します。1㎡あたり約150gが目安です。その後は1か月に1度、1㎡あたり約30gずつ追肥を行うことで継続的にアスパラガスを収穫します。
春だけでなく、夏や秋にもアスパラガスを収穫する場合は、春の収穫を早めに切り上げて夏肥を施します。春の施肥と同様に1㎡あたり150g程度とします。このとき、ひと株あたりの茎葉の数を、暖地では4~5本、寒冷地では10~15本程度に維持しましょう。

冬を迎えたら、再び茎葉を刈り取って焼却します。これを毎年繰り返します。
アスパラガスは草勢に対して茎が細いため、倒れやすいという性質があります。そこで、倒伏を防止するために株の周りに支柱を立て、紐を張っておきましょう。
雑草の防除をこまめに行うことも大切です。
4.2 病気・害虫に注意!
アスパラガスの柔らかい葉は害虫にとって絶好のごちそうです。また、害虫による食害が起こると、その傷口から菌が侵入して病気が発生することもあります。
こちらの記事では、炭疽病やモザイク病、べと病など、アスパラガス栽培で気をつけたい6つの病気について原因や対処法をご紹介しています。
知っておきたいアスパラガスの病気!アスパラガス栽培の病気3つを解説! | AGRIs | 農業技術の集会所
アスパラガスの柔らかい葉は害虫にとっても非常に魅力的です。アブラムシやハモグリバエ、アザミウマなど、アスパラガス栽培で注意すべき害虫は少なくありません。
こちらの記事では、害虫による被害が生じた場合の見分け方や対策方法をご紹介しています。
知っておきたいアスパラガス栽培の害虫!6つの害虫と対策法まとめ | AGRIs | 農業技術の集会所
5. アスパラガスの栽培:収穫
穂先がかたく締まったアスパラガスを、根元からハサミで切り取って収穫します。根元の近くを手で折って収穫することも可能です。
高さ25cm〜30cmが収穫の目安です。育ちすぎると穂先が開いて味が落ちてしまうため、適切な大きさで収穫します。

全ての芽を収穫すると、株が弱って翌年以降の収穫量が減ってしまうため注意しましょう。また、6月以降に出る細い芽は収穫せずに残しておいて、株に養分が回るようにしましょう。
株を弱らせず上手く管理することで、年々株が大きくなり収穫量を増やすことができます。
6. おわりに
今回はアスパラガスの栽培方法についてご紹介しました。アスパラガスは家庭菜園でも手軽に栽培できる野菜です。病気や害虫に注意しながら、ぜひ一度、アスパラガス栽培に挑戦してみてください。
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